視点の違い

先週末は、第35回日本自殺予防学会総会に参加してきました。


私が、お話をさせていただいた分野はサポート・介入です。


課題は、「震災に於ける困窮者の自殺」についてです。


内容は、簡単に言えば、


今回の震災を激甚災害の事後対応の視点から見ているところです。


被災者が夜間自殺に傾いていく要因として


     「震災の恐怖体験」
         ↓ 
     「夜間就寝時の不安と恐怖」
         ↓
     「思考障害による精神的な孤立」
         ↓
     「追い詰められてメンタル不調者に陥る」
         ↓
     「自殺は夜に考え明け方に行動を起こす」
         ↓
     「夜間のサポート・介入の強化が必要である」


こんな流れで話してみましたが、


現状はというと、相談業務一つをとっても、


行政の面談は昼の時間帯、電話相談も行政は昼間で、夜間は民間(20時〜22時迄)


自殺関連で言えば、いのちの電話24H その他や東京・大阪が一部24時間


しかし、予防の段階から自殺関連のところに相談するかといえば疑問ですね。

         
震災の被害状況(12月10日現在)
 死者 15,841人 行方不明 3,493人  避難者 約33万人と甚大です。
 関東太平洋岸部の家の傾き 20,000件
 失業者 66,366人


これだけのハイリスク者がいて、自殺予防対策は通常の観点で考えています。


災害の事後対応から考えると、自殺予防に対する緊急性が見えてきません。


既に追い込まれているという視点がないのは誠に残念です。


避難者は、避難所→仮設→復興住宅へと環境が変わって行きます。


これに生活再建や復興に伴う活動や各々の仕事に就いていくことになります。


災害による人的・物的の喪失感に加えて新たな生活を目指していく。


しかし、現実の復興は大変厳しく長期的になっていくことが予想されます。


復興については、まずは人的な復興なくして考えられません。


特に地域を支える人、その中でも若い人の力は欠かせません。


この人たちが、メンタル不調者に陥らないようなサポート・介入は、


言うまでもなく必要です。


被災地は、広域で地理的にも気象条件等を考慮すれば、電話というツールが


大変利便性がよく活用するのには最適です。


広報するのにも、各県・市町村のホームページのトップ掲載や


毎月の広報誌を活用すれば、被災者の視覚に訴えられます。


震災の自殺予防に関しては、戦略的かつ積極的で組織的な対策が必要です。


各県が単独でするのか、被災県が統一して行うのかなどで変わってきます。


夜間のサポート・介入などの一つとして、夜間電話相談業務の強化が


今のところベストではないかと思うのですがね。


こんなことをお話してきました。


       カウンセリングルームENDO (カウンセリング神戸)

               神戸元町のカウンセリングルームです